はいどうも、キュウです。今回は「家を建てるのに、なぜ設計が必要なのか?」というところから、設計事務所の仕事について書いていきます。
家を建てると聞くと、現場で木材を組み立てる大工さんや、工事を進める様子を思い浮かべる方も多いと思います。一方で、その家を設計する人が何をしているのかは、あまり知られていないかもしれません。
設計者は、住む人の希望と、土地・予算などの条件を合わせながら、どんな家をどうつくるかを考えます。今回は家づくりの入口として、設計と工事の関係を大まかに紹介します。
1|家を建てるのに、なぜ設計が必要?
「明るいリビングにしたい」「家事を楽にしたい」「家族が集まれる場所をつくりたい」。家を建てようと思うと、いろいろな希望が出てきます。
ただ、その希望だけでは、部屋の広さや配置、窓の位置、使う材料までは決まりません。同じ「明るいリビング」でも、土地の向きや周りの建物、そこでどう過ごしたいかによって、考え方は変わります。
設計では、そうした希望を具体的な建物の形にしていきます。どこに何を配置するか、どんなつくりにするかを考え、住む人と相談しながら決めていく仕事です。
実際に工事を始める前に、どんな家をつくるのかを具体的に考える。その役割を担うのが設計です。
2|設計では、どんなことを考える?
設計というと、間取りや外観を考える仕事というイメージがあるかもしれません。もちろんそれも大事ですが、家をつくるには、ほかにも考えることがあります。
- 暮らし方:誰が住み、どこで何をして過ごすのか。移動や家事がしやすいか。
- 土地の条件:土地の形や高低差、道路との関係、周りの建物など。
- 建物の性能:安全性や、暑さ・寒さへの対応など。
- 守るべきルール:その土地に建てられる建物の条件など。
- 予算:希望する広さ、材料、設備などが、予算の中で実現できるか。
これらは、それぞれ別々に決められるわけではありません。
例えば、大きな窓がほしい場合には、光の入り方だけでなく、外からの視線や日差しの入り方なども考えます。また、家を広くすると、使える場所は増えますが、費用にも影響します。
設計者は、こうした条件を合わせて考え、施主と話しながら希望の優先順位や実現方法を整理していきます。施主とは、家づくりを依頼する人のことです。
国土交通省の業務報酬基準でも、基本設計の標準業務には、要求や条件の整理、法令上の制約の調査、設計図書の作成、概算工事費の検討、建築主への説明などが示されています。[1]
設計事務所は、希望を聞き、その希望とさまざまな条件を調整しながら、建物として具体化していく役割を担います。
3|設計した内容を、どうやって実際に建てるの?

設計した内容は、図面や、使う材料・仕様を示す資料などにまとめます。これらを通して、建物の形、大きさ、つくり方などを施工者へ伝えます。
施工者とは、実際に建物をつくる工事を担う会社や人のことです。施工会社が工事を進め、大工さんをはじめ、電気や水道など、さまざまな工事の職人が関わります。
設計する仕事と、実際につくる仕事には、それぞれ役割があります。設計事務所へ設計を依頼し、施工会社へ工事を依頼する場合もあれば、同じ会社が設計と施工の両方を担当する場合もあります。
また、図面ができたら設計側の仕事がすべて終わる、というわけでもありません。工事中には、工事が設計図書の内容と合っているかを照合・確認する「工事監理」という仕事があります。[2]
ここでいう設計図書は、工事に必要な図面や仕様などを示したものです。工事監理は、施工者が行う日々の工程や作業の管理とは役割が異なります。設計と工事監理を同じ設計事務所が担当する場合もありますが、誰がどの業務を担うかは契約内容を確認する必要があります。
家づくりは、住む人の希望を設計で具体化し、その内容を施工者へ伝え、実際の工事で形にしていきます。設計と施工、そして工事監理の役割が分かると、家ができるまでの全体像もつかみやすくなると思います。
具体的な進め方は「A01 #02 仕事内容とスケジュール」、関わる人たちの役割は「A01 #03 登場人物・関係性」で詳しく紹介しています。施主側の流れは、シリーズの「A01 #04 施主から見るスケジュール」で扱う予定です。
参考資料
- [1] 国土交通省告示第8号(令和6年1月9日):別添一「設計に関する標準業務」、基本設計の業務内容(PDF3ページ)。設計で検討・整理する内容の根拠。
- [2] 国土交通省|工事監理ガイドラインの策定について:工事と設計図書の照合・確認という工事監理の役割。
